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本屋さんの話がつづきます。

店外観
あったはずの店がある日無くなってしまっている・・・。
そんなことを前に書いたが、しかしその反対に
いつもの場所で、いつものように、いつもの顔で
しっかりと営業を続けている店があることも確かだ。
今回お邪魔したサン書房は、そんなお店のひとつで
創業は昭和44年。いまは店の前を頻繁に行き来するバスも
まだ走っていなかった頃から、ここ西登美が丘一丁目に
店を構えてきた。今年で42年目になるという。
いま流行の言葉で言えば、アラフォーな本屋さんである。

昔々、筆者が住んでいた町にも、このような本屋さんがあった。
父親が、文藝春秋なんかを毎月配達してもらっていたことを思い出す。
小学生であったか、すでに中学生になっていたか
そんな年頃の筆者が気に入った本があると、父親の「つけ」で買えた。
今で言うところのクレジットというやつですな。
当然マンガ本などはご法度で、偉人伝とか児童文学書みたいな
教育上好ましいと思われる傾向のものに限られていたにせよ、
お金を払わず店から品物を持って帰れるのが嬉しくて、よく入り浸っていた。

逕サ蜒・016_convert_20100614095357
どこの町にも、そんな本屋さんが一軒か二軒あったはずだが
ここのところついぞ見かけなくなったように思う。
この学園前近辺にも、かつては5軒ほどの町の本屋さんがあったけれど
すでに三軒は店じまいしている。残っている一軒はスーパーの中の店舗だから、
サン書房のような路面店は、この辺りではここ一軒となってしまったようだ。

一時期、郊外型の書店が増えたことがある。
大きな駐車場があって、便利だということで受けたようだが、
昨今振るわなくなったという。
いまはイオンとかアピタタウンなどの大きなショッピングセンターの
中に大きな店舗を構えるスタイルが主流になっているらしい。
この前取材したアカデミアけいはんな店もそのようなスタイルの店だ。
買い物のついでに寄れて、品揃えも豊富であれば、なるほどお客さんも集まるだろう。

逕サ蜒・001_convert_20100614095118 
一方サン書房である。
並びや対面にお店はあるが、商店街というにはいかにも寂しい。
店の広さは12坪というから、大型書店と張り合うつもりなど、はなからない。
雑誌類はかなり豊富に置かれてあるが、
最近の男の子や女の子は週刊誌はコンビニで買うものと思っているようだ。
となると、アラフォーになるまでお店を続けてこられた秘訣が何かあるはずだ。
サン書房の前を通るたびに、そんなことを思っていた。
で、ある日門を叩いたのである。 

逕サ蜒・032_convert_20100614095520
「頼もう!」と呼ばわると出てこられたのが、
この店のオーナーである春名貞夫氏である。
一見強面、頑固そう、いかにも本屋の主ふう。少し昔のネ。
しかし話を窺えば、色々と業界の裏話を含めて語ってくれた。
なんと二時間近く。お忙しいのに、誠にありがたいことである。
取材中は奥様の雅子さんが店番をしておられた。
どうもすみません。

バス停の側というグッドロケーションもあるのだろうが、
こんなご時勢の中、安売りで客を呼ぶことも出来ず、
派手な広告宣伝でドンチャンするわけでもないのに、
売り上げを上げているということは、かなりしっかりとした
固定客を掴んでいるに違いないと見た。
そしてその通りであった。
ただし店に買いに来るお客さんではない。
店からお客さんのもとに出向くのである。
いわゆる本の配達。
これが売り上げの七割以上を占めているという。
個人宅にも配達はするが、多いのはお医者さんや
理髪店、美容院、それに飲食店など。
そういえば、これらの所には客用の雑誌が何種類か置いてある。
それを納入しているというわけである。

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なるほどそれらの店は忙しいから
週刊誌などを本屋に買いに行っている暇がない。
届けてくれるなら、それは便利だということだ。
本の配達は創業当時からずーっと続けているという。
テマもかかるし、ヒマもかかる。
そうだからといって、配達料を貰うわけでもない。
昔は他の本屋さんも配達をしていたそうだが、
世の中の景気が良くなった時代に
そうまでしなくても売り上げがあがるようになると
テマヒマかかる配達をやめてしまった。
ほっといても、客の方からやってくるサというわけだ。
せっかく培ってきたお客さんとの関係を
切ってしまったということになる。

大都市の繁華な街に店があるのなら、
行きずりの人たちを相手に商売も可能かもしれないが、
このような地域に根ざした店で、エリアの人との関係を切ってしまえば、
苦しくなるのは必定だったのかもしれない。
いつしか商売敵も消えていき、今でも配達してくれる本屋さんとして
サン書房は地域にしっかりと根づくことになった。
別に目新しいマーケティング手法を繰り出したわけではない。
昔からやって来たことを、時代がどう動こうとも
やり続けてきただけのことなのだろう。
だが、これがとっても難しい。

逕サ蜒・009_convert_20100614095245
サステナビィリティという言葉がある。
持続可能性というようなことなのだが、
要するに「そんなんでずーっとやってけるの?」
といったようなことである。
「何かの間違いで大儲けをしたとしても、
その間違いが正された途端にペチャンコに
なってしまうようではイカンでしょう。
やっぱり地道に長くやっていくのが一番ですよ」
そういうふうなことを少し気取って言うと
サステナビィリティということになる。
言葉は新しげだが、言っている事は至極まっとうなことだ。

そのような商売哲学をもっていたのか、
それともお客さんの気持ちに応えてきただけの結果なのか、
いずれにせよ本の配達というテマヒマをかけてきたおかげで
それなりにやっていけているようだよと、春名氏は語ってくれた。
それなりにやっていけない企業や、お店や個人があるご時勢で
これはたいしたことなのだと、やっていけていない一人である筆者は
つくづく思うのである。

配達エリアは、北は鹿の台、西は生駒まで、
東は高の原あたり、そして南は西の京にまで至るという。
あれま、なんと広い範囲なのでしょうと嘆声を上げる。
南の方は昔からのお馴染みさんが多いのだという。
要望があれば配達に窺いますよとのことだったが、
ルートからあまりに離れていたり、小口な注文の場合は、
お断りすることもあるという。
新規の顧客はありがたい。だが、新規を求めるあまり、
いままでのお馴染みさんに迷惑をかけるわけにはいかない。
限られた時間のなかで確実に配達していくには、
やはり限度があるということなのだ。
配達するのはご主人と、昔から手伝ってくれているもう一人。
人を増やせば新規にも対応できるだろうが、
「そんなんでずーっとやってけるの?」と問えば、
自ずと取る道は見えてくるということなのだろう。

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本屋さんの今までや、これからにまつわる
面白い裏話をたくさん聞かせてもらったが、
それを書きはじめると、いつまでたっても終わりそうにない。
残念ながら割愛ということになります。
すみません、春名さん。

これを機会に、「文藝春秋」という月刊誌を
配達してもらうことにした。
待てしばしのない性格なので、配達を待つより
店に出向くことの方が多くなりそうだが、
気にかかる店には、やはり清き一票を投じておきたい。
そしていつもの場所で、いつものように、いつもの顔で、
ずーっと居てもらいたいものだと思う。

サン書房 
奈良市西登美ヶ丘1-4-8(西登美が丘二丁目バス停前)
0742-45-4856




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